本記事は中学生からのよくある質問への回答をイメージしたものになります。
保護者の方からの質問については、こちらの「よくある質問(塾全体)」もしくは「よくある質問(中高一貫校中学生)」をご参照ください。
いつの時代も、親は子どもを叱るもの。
どうしてあなたの親御さん(保護者の方)は、あなたの成績や勉強態度、生活態度を見ては、あれこれとうるさく言うのでしょうか?
そんな古典的ともいえる状況は、時代を経ても今なお変わっていないように思います。
すなわち、あなたのお母さんやお父さんも同じことを言われてきたかもしれない、ということです。
そして中学生のあなたも近い将来には、誰かにガミガミとうるさいことを言っている可能性があるということです。(親しい部活の後輩とかに言いたくなりませんか?)
「這(は)えば立て、立てば歩めの親心(※子どもの成長を願う親の気持ちを意味します)」と申します。
人はその相手によほどの関心がなければ、しつこく構うことなんて(一般的には)しません。
ガミガミ言われたら、親の愛情を素直に感じて「ありがとう」と言いましょう。
ちょっと大人な態度こそが、状況改善のための第一歩です。
その大人の余裕を身につけるためのヒントになることを願い、「親があなたにガミガミ言う」理由の背景を語ってみたいと思います。
余談ですが、「ほとんど子どもにうるさく言ったことがない(あえて言わない方針)」のご家庭も、もちろんあるはずです。
統計的にはどうなんでしょう?塾に通うご家庭では、「言わない」より「言う(言ってしまう)」ほうの方がやはり多い気がしますが…
あたんごたっとは、言われがたしかなか!(あなたのような人は、言われても仕方がない道理がある!)
いきなり方言で失礼しました。親から子に向かう態度を表現するとき、感情的だけどどこかユーモラスな響きの熊本弁が川上にはしっくりきます。他の地方の方言で面白い(?)叱り方があったら、ぜひそのなまりごとお聞きしたいです。人ごみの中に、そを聴きにゆく…。
さて一つ目は「あなたが言われても仕方ないレベルの勉強しかできておらず、言われても仕方がない成績をとっているから」です。
憂鬱な定期テスト期間も終わり、いよいよ楽しい夏休みに突入しましたが、中には「ちょっと待った!」の声がかかって意気消沈している生徒さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
当塾でもそんな保護者の方と生徒さんから、現在進行形でのご相談を受けています。
面談時には定期テストの結果などを見ながら、日頃の勉強の様子など色々お話をするのですが、塾側が「計画の見通しが甘いし、勉強不足ですね」なんてしたり顔で結論を出さずとも、生徒さん自身で十分理解していることがほとんどです。
したがって、そのようなケースの面談の意義とは、現状をきちんと言語化し、「勉強に正面から向き合う時が来た!」と覚悟を決める儀式の場となることだと言えます。
「自分との苦手や弱さと向き合う」というのは、たとえ大人であっても大変なことです。
そしてそれを改善するために行動することは、誰に褒めてもらえずとも勇者の行動です。
西荻塾の面談では、どんなに保護者の方が心配されており、客観的に見てかなり赤信号の状況だったとしても、生徒さん自身に「塾に通って勉強することをどう思っているのか?」と必ずお尋ねしています。
なぜなら、結局のところ親や学校、塾の先生に「やらされる勉強」は、どこまでいってもきっかけと手段に過ぎないからです。
「あなたの勉強」としてあなたが当事者意識を持つことが一番大切なことです。
ともかく親御さんはあなたの日頃の様子をみて「勉強が他人事のようになっている」と敏感に感じ取られたからこそ、あなたにガミガミ言い出したのです。
もちろんあなたが勉強にしっかり向き合えなかったのには、いろんな事情や背景があると思います。
それでも「学ぶこと」が本分である生徒としての身分でいるのであれば、「面倒くさい」「ちょっと忙しかったから」なんて理由で勉強から逃げてはいけません。
お母さんもお父さんも、お祖母さんもお祖父さんも「あーだるい、眠い、面倒くさい」とか、巷(ちまた)の中学生がつぶやいているような理由で、働いたり、家事をしたり、あなたにガミガミ言ったりすることを、一日だって放棄したりしません(放棄しているときは深刻な事情があります)。
解決策は既に分かっていると思いますが、シンプルです。
あなたが勉強する姿勢を見せて、それなりのテストの点数でも取ってくれば、親御さんの日頃の疲れは吹っ飛び、あなたも良い気分で過ごせて何も言うことはなくなります。
ただそうはいっても、自然に当事者意識をもって計画的に勉強をやっていけるような生徒さんばかりでないことも事実です。
多少強制的にでも勉強をやらされることで、勉強のペースと成績が安定し、何となく面白くなってきて「私も案外勉強やれるもんだな」と、当事者意識が芽生えるケースも多々あります。「義務的」通塾や「義務的」自習は当塾でも強力なブースターの機能を果たしています。
「分かっちゃいるけど、やめられねえ」と植木等な生徒さんは、西荻塾にご相談ください。
当塾はそんな生徒さんの指導も、けっこう得意とするところです。
むぞらしかけん、せからしかと!(可愛いからこそ、過度に構いたくなるんだ!)
二つ目は、最初にも触れましたが、「あなたのことに直球で真剣なあまりに、放っておけず過干渉になるから」です。
「二月の勝者」という中学受験をテーマにした漫画をご存じでしょうか?
ときに励まし合い、ときにぶつかり合う親と子のやり取りを見ていると、なかなか心が痛くなる場面もあります。
親が一緒に勉強をしたり、面倒をみたり、適度に干渉することは(特に小学生には)必要だと思います。
そして自立した中学生、高校生にだって保護者の方にしかできない、構い方というものがあります。
ただしここからは川上の私見になりますが、親御さんが子どもの客観的な能力や学習内容の把握、正しい方向性がよく分かっていないままに子どもをコントロールしようとすると、勉強にひずみが生じやすいように思います。
中身をよく知らずに外側だけ(使う参考書や期限、勉強時間や点数など)の管理に走ると、「どうしてやれてないんだ!」と叱る親に対し、当人からは「これでも頑張ってるんだ!」と真偽も背景も見えにくい反論が返ってきたときに、次の打つ手がなくなってしまうからです。
例えばサッカーチームの監督やコーチになるとして、もちろんプレイヤーと同じ動きが出来なくても、優れた指導者になれるかもしれません。しかしそれでも人生の多くの時間を(大半は仕事や使命として)サッカーというスポーツの理解に捧げたことが名監督・名コーチの必要条件であることは間違いないでしょう。
ポジショントークとなり大変恐縮ですが、少なくとも中学以降の学習内容になれば正しく教えるにはそれなりの学力(学歴ではなく)と教授訓練が必要だと、前職は塾講師ではなかった川上だからこそ感じています。ぱっと目に見えにくいのですが、その技術、視点の深さと視野の広さ、学習継続性や結果への責任感など、基本的な立ち位置が「よく勉強を教えてくれる友達」とは根本的に違います(そのような友達もまた素晴らしい影響を与えてくれますが)。そしてサッカーとも少し違って、自分が教える科目について子どもより数段高い学力(プレイヤースキル)を持たねば、名監督・名コーチへの道は開かれません。
簡単そうに見える、中学生最初期の「be動詞や一般動詞の違い」でも「正負の数」の計算であっても「(自分が分かるから)こうなるに決まってるでしょ」なんて雑な教え方をすると、後々のつまずきの原因になってしまうことがよくあります。まして因数分解や相似の証明、関係代名詞や仮定法など、正確に把握していない問題の指導については、たとえ参考書等を併用したとしても、どこか本質的理解が得られず、上滑りしやすいです。
そのような理由から、実は解けるのだけど自分の専門教科以外の質問には答えないようにしている先生も多いです。我々はそれほど頑なではありませんが、十分注意をして指導にあたっています。
「人は自分の状態を正しく理解してくれる人」と信頼し合って行動する方が高いパフォーマンスを得られます。勉強のことは、あなたの勉強のことをきちんと理解している人と実施した方が「すっきりと伝わるし、自分も理解できる感覚」は得やすいと思います。
「『体系数学』の問題集◆◆編の○○分野の△△番の問題が難しい。着眼点をどうするか、以降の問題にどう一般化していくか?」なんて話は恐らく我々でないと共感できません(笑)。保護者の方の役割、学校の先生の役割、地域のコミュニティの方の役割に比べれば、非常に限定的でささやかではありますが、我々塾講師の役割というものもあります。
さて本記事を読んでいただいている保護者の方におかれましては、本当にごめんなさい。
中学生の皆さん、正直に言って「親はあなたの勉強のことが(多分)分からない」けど「それでもあなたの勉強のことを構いたい」という、いかんともしがたい衝動(!)があるものです。でもだからこそ、保護者の方は貴重なお金や時間をあなたの教育に充てたりもしてくれるわけです。多少口ぐらい出されてもいいでしょう。
一方で皆さんは思慮分別がつきつつある中学生です。親の勢いそのままに小学受験や中学受験をした頃とも違います。
あまりに過干渉と思うようなら、きっぱり話し合いましょう。少し寂しく思われるかもしれませんが、きっと納得してくれるはずです。
ただし、あなたがやるべきことを自らやることができている、という姿勢と結果を見せる覚悟があってからですよ。それが大人の行動です。
もう少し子どもでいたくって、「自立」にまだ少し自信が持てないのであれば、今しばらくは親御さんのお説教も真面目に聞いて、大人しく塾通いでもしてみるのも、やむなしかなと思います。
焦る必要はありません。小さくとも確かにステップを踏んでいけば、いつの間にか自立して踊れていたという日がやってきます。