大学受験

大学受験部が目指す「国語の力」

「国語のセンス」を磨く

「国語にセンスはいらないー」
国語が苦手な方は、国語教師や参考書のそんな言葉に救われた気持ちになるかもしれません。
 しかし、一流のアーティストやスポーツ選手を例に出すまでもなく、ある分野において「センスがあること」は高いパフォーマンスを発揮するための必要条件です。
 共通テストや難関大の入試で高得点が取れる受験生は、すべからく「国語のセンス」を持っています。選択肢を二択で迷っても正解を選び、記述式問題においても要点を外しません。正解への道を見抜く眼力と嗅覚があるのです。
 もちろん、私たちの全員が小説家や新聞記者、文学者になれるほどの文章センスを獲得できるわけではありません。 しかし野球のプロにはなれなくても、草野球の上手な近所のお兄さん(お姉さん)になることは十分可能であるように、大学受験国語という枠の中、7割~8割の得点をもぎ取る答案を書くことは、まっとうな努力で手が届く範囲なのです。

【参考】
競技人口に比して、プロ野球選手は0.03%(2軍・育成等含む)、将棋のプロ棋士は0.0004%とのこと。一方で大学受験生全体に比して、東大合格者は0.6%、早慶2%、GMARCH合格者は16%です。
※これは医学部、東工大、一橋、京大含む他旧帝大、関関同立等の大学合格者を含みません。

現代文について

「勉強しても現代文の点がとれないー」
そんな悩み相談を入塾シーズンには毎年受けています。

現代文が苦手な生徒さんに共通する原因が、大きく分けて2つあります。

 一つ目は(勉強しているつもりでも)勉強の絶対量の不足。ほとんどの生徒さんは残念ながらこれです。
漢字や語彙、文・段落のつながりや要点を把握する論理力、抽象的なテーマへの背景知識など、現代文に必要な様々なパラメータが、読解や解答ができる閾値に達していないのです。
 「勉強しなくても現代文が得意」な生徒さんは、実はこれらの国語的能力を、豊富な読書経験や議論の体験により(無意識的にせよ)鍛え上げているケースがほとんどです。

 二つ目は現代文という科目が、他の科目に比べて「自分は何ができていて、何が足りていないのか」を客観的に判断するのが難しいことにあります。映像授業や参考書学習で上手くいかない人の大半はこれです。解答解説を見て、解答自体は修正できても、その解答を生み出した思考回路が修正できていないことが多いのです(○か✕かだけにこだわる小学生と似ています)。

 国語で高得点を取り続ける受験生は、いったい試験中にどんなことを考えているのでしょうか?

 西荻塾では、講師があえてトップクラスの受験生役を担って、その受験生がどのように文章を読み、どのように解答を導き出したのかという過程を、解答に悩んだ箇所も含めて、頭の中を全てお見せします(リアル授業の良さです)。
 その一方で、講師は皆さんの頭の中を覗きながら、トップクラスの受験生の思考回路に寄せるべく、様々な調整をしていきます。現代文は、すでに血肉化している母語を扱うからこそ、かえって多種多様で根深い「読み癖」「解き癖」が皆さんの中に蓄積されており、それが落とし穴になっていることがよくあります。
 答案用紙だけでは見えない患部を見抜き、適切な治療を施すことが国語科の目標です。

古典について

受験戦略から見る古典

「毎日、英語や数学の課題で大忙し!理科や社会もそろそろヤバい…古文漢文?今は無理!!」
「古文の授業ですか?先生が何を言ってるのか分からないので、寝てました。」

そんな日陰者の古文・漢文ですが、実はコスパ・タイパの良い科目であるのをご存じでしょうか?

 例えば、東京大学受験生(文系)を例にしましょう。
共通テスト(現行)では900点満点のうち古典は100点を占めます。
東京大学二次試験(文系)では440点のうち古典は60点を占めます。
これは配点550点中の13%にあたります。私立大文系の受験生であれば、20%以上にもなります。

 このように古典には英語の1/2に近い配点が与えられていますが、覚えるべき単語や文法は英語の1/30もありません。新しい話題(SDGsや人工知能など)なし、新出単語なし、リスニングなし、作文なし、もちろん海外経験等による有利・不利もありません。学習時間は小学生から始まる英語とは比較にもならないでしょう。
 
 どうでしょう、けっこう美味しい科目だとは思いませんか?
古典をあきらめないことで、理系の方は国公立大に、私立文系の方も幅広く大学・学部の選択ができるようになります。

 さりとて実用性も高く、格好いい英語に比べて、古典にはモチベーションが上がらない方も多いでしょう。
 そんな方は西荻塾で、古典、やりましょう
 皆さんの「古典めんどくさい」の気持ちをよく理解した上で、単語や助動詞の辛い暗記作業も、力強く乗り越えていけるように授業設計しています
 例年、早い方で半年、古文にあまり時間を割けない方でも1年程度で入試問題に取り組むことができるようになります。受験戦略全体を考えると、高校3年生の春までには古典の基礎事項を終えておくことが望ましいです(それ以降でも間に合いますが、他科目の学習に時間を割きたいため)。
 なお早く始めると、学校の古典の授業が分かり、定期テストも自然ととれるようになり、いろいろと楽になりますので、高校1年生や、中高一貫の中学生の受講もお勧めです。

外国語としての古典の楽しさ

 古典(特に古文)は現代の日本語の素になった外国語です。
 言葉は生き物で、かつ社会・文化的背景が現代とは大きく異なりますので、そのように捉えた方が古典学習はスムーズでしょう。
 「見た目、日本語だから」と雰囲気で古文を押し切ろうとする方がいますが、例外なく誤読と得点伸び悩みの原因になります。皆さんがフランス語やアラビア語を習得したいのであれば、まず単語や文法、そして読解のルールを学ぶように、古典を読むにも単語と文法、読解のルールを学ぶことが必要になります。

 例年、真正面からきちんと古典を勉強してきた塾生は、だんだんと古典の世界を楽しむようになってきます。
(とある部分の解釈に際して)「私には『あはれ(をかし)』の気持ちがまだまだ足りなかった―!出家しようか!?」
…なんて笑ったり、突っ込んだり、現代との価値観の違いを感じながら、古典のストーリーと世界観を楽しんでいます。勉強を頑張ってきた生徒さんへのご褒美ですね。
 スポーツや芸術、遊び、仕事にいたるまで、真剣に取り組み、努力して、一定のスキルとセンスを身につけて初めて、その価値や奥行きを味わうことができるのは、受験勉強も同じです(スマホゲームほど手軽ではないというだけです)。

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