西荻塾の川上です。
当塾には例年20校ほどの中高一貫校の中学・高校生が通塾しています。
そのカリキュラムや進度、定期テストの難易度等は学校ごとに様々で、生徒さんとは随時相談をしているのですが、やはり中高一貫校ならではの共通する悩み(学習上の課題)が浮かび上がってきます。
そしてその悩み(課題)については、なんとなくやり過ごすこともできてしまうのですが、後で真面目に向かい合ったときには既に赤信号(最悪のケースでは進級・進学不可)、そんな生徒さん・保護者の方の相談をたくさん受けてきました。
今回は中高一貫校の「中学1年生」にフォーカスして、学期別の対処法をご紹介したいと思います。
※中高一貫校に通うメリットは当然学習以外のこともありますが、本記事では学習上の話題としてご認識ください。
※中学2年生については、こちらをご覧ください。
※中学3年生については、こちらをご覧ください。
学校の授業についていけない!?
「授業進度が早い」「まわりが自分より賢い」「テストが難しい」…
学校の偏差値というより、自分にとってハードルが高めの中学受験を頑張ってクリアした生徒さんほど、生じやすい悩みかもしれません。
公立小学校では公教育の意義上、中よりやや下の方のレベル感で授業が展開されることが一般的です。
また周囲にはいわゆるペーパーテスト以外のことを重視されるご家庭も当然あり、その多種多様な価値観の中で「自分は勉強をする」という選択をした生徒さんにとって、100点満点やクラス上位を目指すことはそれほど難しくありません。
しかし、中学進学後は同じ入試を経た同級生と席を並べるのですから、当然授業のレベルは上がり、平均点を取ることさえも大変なハードルとなることがあります。
学期別対処法①:中学1年生の夏休みまでに学習ペースをつくろう!
中高一貫校であっても、中学1年生の1学期は「慣らし期間」ですので、必要以上に恐れる必要はありません。
学習内容の一部は中学受験の貯金で対応でき、入試問題より理解が易しいと感じることもあるでしょう。
しかし大抵の中高一貫のカリキュラムでは、2学期以降に抽象度がいきなり上がります(公立中の2年生で実施する単元に入ります)。気がつくと理解がついていかない、テスト勉強?いえ課題の提出すら危ういという状況に陥ります。
学習ペースのつくり方は基本的には「定期テスト」を軸に計画を立てることをお勧めします。
短中期的な目標としてわかりやすく、また2~3か月間の自分の努力の量と質の結果が目に見えやすいからです。
大学受験までの6年間、学習に対するモチベーションを維持し続けるためにも、「目標に向かって勉強をする」という良質な経験を得るためにも、最初の定期テストを良い結果でスタートしたいものです。
西荻塾でも中学生期間においては、定期テストに照準を合わせています。
基本的に1~2単元を先取し、貯金をつくりながら日常の学習に余裕が持てるよう指導を進めていきます。
もちろん学校の授業も復習や理解を深めるために重要ですので、既習内容であってもしっかり聞くように助言しています。
そのためには学校ごとの進度予想や計画立て、課題を進める時間もある程度確保しなければいけませんので、最初は講師のアシスト強め(自習のお呼出しなど)からスタートしますが、少しずつ集中力と忍耐力、そして自主性も成長させていきます。
コツとしては宿題のように「受身で勉強する時間」ではなく、「自ら自分のために勉強する時間」として攻めの時間として意識的に設定することにあります。
「分かっているようで、実は分かっていなかった(解けなかった)」内容の洗い出しを日常的に行うことで、先生に早めに質問に行くなど積み上げ損ないへの予防ができるでしょう。
学期別対処法②:中学1年生の2学期に成績が落ちてしまった場合
まずは学校の先生に相談してみましょう。ご家族と並んでお子さまの学習状況を一番よく知る方だと思います。日頃の授業での様子や、テストでの間違い方などを根拠に「どこに課題があり」「何をやればいいか」を教えてくれると思います。
その後は「対処法にしたがってやるだけ」です。
しかし成績が窮地に陥りかけている生徒はそもそも、その「やるだけ」ができないこと自体が一番の悩みであったりするわけです。
はっきり申し上げますが、学習の「取り戻し」は「先取り」よりも難しい、というのが川上の実感です。
なぜなら学校のカリキュラムは、積み残した学習内容を取り戻している間にも、容赦なく進んでいるからです。取り戻し中においては、他の生徒さんの1.5倍以上の負担と時間のl捻出が必要とお考え下さい。
また生徒自身では必要な学習ができていなかったわけですから、生徒自身による自力救済は困難でしょう。
保護者の方による叱咤激励とサポートでも構いませんし、それが難しいようであれば、手前みそですが塾や家庭教師のようなシステムを活用し、学習にしっかりと介入し、ブーストをかけることが必要でしょう。
学期別対処法③:中学1年生の3学期に成績が落ちてしまった場合
中だるみが近いのかもしれません。
中学1年生の2学期末〜3学期には、数学・英語とも中学内容のコアとなる分野を学習します。ここから先は中学受験の貯金ではもはや対処できません。きちんと理解し、練習を積む必要がある単元の連続です。
対処法としては2学期につまずいてしまった場合と同様に「やるべきことを理解して粛々と手当をしていくだけ」です。もちろんより一層の覚悟と時間が必要になります。
ただし一方で学習を諦める必要は全くなく、むしろこのタイミングで自分の成績と向き合うことができて良かったと思って構いません。
つまずきの内容や程度にもよりますが、中学2年生の4月~夏休みくらいまでは、過去を取り戻しながらも現行の内容にもある程度ついていく、という2足のわらじ学習に覚悟を決めてもらう必要があります。
大人がしっかりサポートしてあげましょう!
「親がガミガミ言わなくても、子どもには自立して勉強できるようになってほしい」
どの保護者の方にも共通する願いかと思います。
しかし成績不振に陥っている今は、まず大人がしっかり介入して、本人の自信を取り戻してあげましょう。
学習の自立を図ることは、周りの友だちに比べても健全な成績がとれるようになってからで十分です。
西荻塾は当然「成績を上げること」が至上命題です。しかし結局のところ成績だけを上げようとしても、他の要因を無視して成績を上げられるものではないことを、長年の指導経験で理解しています。
生徒本人と対話を重ね、努力を継続させ、粘り強く成長を促していくことが成績を上げていくための必要条件となります。
勉強は生徒の本分かつ、生活時間の大半を占めていますから、勉強についていけなくなると、ほとんどの生徒さんは学校生活が何となくつまらなく感じるようになるでしょう。
逆に言えば、学習のルーティンを確立しきちんと成績を修めている生徒さんは、もちろん苦労や悩みもありますが、概ね気持ちよく学校生活を楽しんでいるようです。
中学生はまだ10代前半で、心身ともに成長途上にあります。
わたし川上にも、恐らくは保護者の方にも未熟な子ども時代があって、そんな中で周りの大人たちが温かくも厳しく、そして辛抱強く支援してくれたことがあったかもしれません(その多くは気づかないうちに)。
当塾は「成績」と「合格」に徹底的にこだわりますが、学習という側面を通じて人間的にもだんだんと成長していく生徒さんの姿に、やはり目を細めてしまう毎日です。