体系数学は早くて難しい!?
西荻塾の川上です。
中高一貫校生で最も使われているテキスト「体系数学(数研出版)」の上手な使い方をご紹介します。
「体系数学」(他に「システム数学」「数BEKI」など)は一般的な検定教科書とは異なったカリキュラム編成がなされています。
例えば「一次方程式(中学1年生内容)」の次に「連立方程式(中学2年生内容)」を学習し、その後は「不等式(高校1年生内容)」を、なんと中学1年生の間に学習します。
そのユニークさに入学前から身構えていらっしゃる保護者・生徒の方は多くいらっしゃいます。また難易度も高めのため、積み重ねについていけなくなると、取り戻すには相当の努力が必要になります。
必要なことは王道にして、一つです。
予め予習をし、授業で理解を深め、日常的に課題をこなして十分な練習を積むことです。
確かに、中学2年生で中学数学を終え、高校受験を経由せず、中学3年生で高校内容に進むことは、相当な学習量が要求される昨今の大学受験でも有利に立ち回れます。
特に数ⅢCが必修となる理系には、その恩恵は計り知れないでしょう。
しかし、いったん躓いてしまえば、「高校受験した方が学力がついていたかもしれない」「成績不振が理由で高校部に進学できない」という状況すらありうるのです。
具体的には下記に西荻塾での実践をお示ししますので、中高一貫校に進学する皆さんの学習計画の参考にしていただければと思います。
「体系数学」を使用している中学1年生、Aさんの場合
体系数学は「代数編」と「幾何編」の2種類、それぞれに専用の傍用問題集「体系問題集」が存在します。
さらに体系問題集は「標準編(レベルBまで)」と「発展編(レベルCまで)」に分かれています。
そして定期テストでは教科書とその問題集に基づいて出題される学校がほとんどです。
レベルC(発展問題に相当)は高校入試問題レベル(やや難〜難)であり、まずは「レベルB」までの典型問題をきちんと押さえる必要があります。
6月初旬、中学生Aさんとの打合せ
次の定期試験はいつからだっけ?(分かって尋ねてます)
7月2日からですね。この前中間テスト終わったばかりなのに、もう1か月前か…
代数は「一次方程式」まで進むと思うよ。幾何は「合同な図形」といったところかな?
方程式の計算はいいけど、難しい文章題と合同の証明はやばそう…
Aさんは体系問題集の「発展編」を使用しています。Aさんは、レベルAまでの問題は適宜内容の導入を受ければ、ある程度一人でもスムーズに先取り学習を進めることができます。
しかしレベルB以上になると未経験の解法パターンについては、一人では解決できない問題が増えてきます。この辺りからは、一つ一つ丁寧に講師と一緒に解き進めながら単元の理解を深めていきます。
Aさんの学校では、教科書の基本例題を中心に解説されますが、問題集の解説はありません。そして定期テスト2週間前に、数十ページがテスト範囲・提出課題として課されます。
もちろん2週間前に取り組み始めても、まず間に合いません。
まだ中学1年生のAさんであっても、日ごろから計画的に進めていく必要があります。
Aさんは毎週土曜日の「ユリイカ自習教室」にて数時間を過ごし、問題の解き直しや質問、英語や他教科の学校課題も進めています。
西荻塾中高一貫コースの数学について
西荻塾の中高一貫コースでは、各学校のカリキュラムを先取りするように授業を設計しています。
当然中高一貫校はハイペースで授業が進みますが、そこを見込んで塾の授業を設計しています。学校の授業時には、ある程度の内容が既習済みとなっていることで、相乗的に理解の底上げが期待できます。
土曜のユリイカ自習教室等も活用して、テスト2週間前に範囲が公表されるタイミングには、体系問題集を1〜2周は解いている状態を目標に、生徒本人と計画立てしています。
教科書の章末問題やレベルBまでの問題は特に丹念にさらい、テスト2週間前からは、再度の苦手つぶしと発展的な問題に取り組んでいます。
ただし体系数学を使っている学校でも、一部は他の問題集から出題する学校もあります。また基本的な問題を中心に出す学校、難易度の高い問題を大量に出す学校とさまざまです。
自分の学校にあった戦略を立てるためにも、ぜひ塾の先生等を上手く活用いただければと思います。
学習全体を上手く循環させるために
量・質ともに最も時間がかかるのが、やはり数学。
しかしきちんと準備をしていれば、英語や国語はもちろん、社会や理科、保体や音楽等の副教科のテスト勉強についても、バタバタすることなく時間を割けるようになります。
テストで点が取れず、勉強が分からなくなると、学校生活全体もつまらなくなる、誰だってそんな負の循環は避けたいと思うでしょう。
先の大学受験まではなかなかイメージできずとも、まずは日常的な学習を習慣づけて、定期テストをきちんとやりきること、それが中高一貫生の学校生活を楽しいものにし、後の大学受験での成功をぐっと引き寄せることにつながります。