西荻塾中学部ブログ

【中学生の質問シリーズ④】塾の自習について/娯楽との付き合い方/クセが強い授業にあたったときの心構え

中学生の質問シリーズ、少し大きめの話題で書いてきましたが、今回は少しスケールを落として身近で素朴な(でも結構大切な)疑問に対して、回答してみようと思います。

以下は西荻塾に通塾されている生徒さんをイメージした質問と回答となりますので、やや西荻塾ローカルな雰囲気の回答となる可能性があります。

今回の質問リスト

毎日部活や行事で大変なんだけど、自習も行かなきゃダメですか?

「授業」ならば「来なさい」の一言で終了ですが、「自習」というのがポイントですね。ここには交渉の余地があるわけです。ケースバイケースということで場合分け。

  1. 定期テストが終わったばかり
    →お疲れさま。目いっぱい遊ぶなり、ダラダラと過ごすなりして週末を過ごすことを推奨します。
  2. 定期テスト前でもなく、受験学年でもない中学1・2年生
    →土曜日の夕方〜夜、それが難しい場合は別の曜日に自習日を設定します。自学自習が習慣化し、それに肯定的な感情を持てるようになることが大目標です。
  3. 定期テスト前の2~3週間
    →土曜日はマスト、部活停止後はそれ以外の曜日にも、塾に顔を出して進捗を一緒に確認するよう勧めます。

以上を基本形とし、体調はもちろん公的・私的な用事も考慮されますが、結局のところ川上・伊藤を納得させるロジックを展開できるかで、毎週の自習の有無は決まります。

「やる気がない日に勉強なんてできないし、意味ない!」と思っている生徒さんも多いでしょう。

しかし「心身共に充実していて、何の悩みもなく、勉強のやる気スイッチ(!?)が入り、どこまでも楽しく勉強できる予感に満ちている」なんて完璧な勉強日和は、年に1回あるかないかです(ごくたま〜にあるから面白いですが)。

むしろ「数学も英語もやりたくない、気が乗らない」「部活(体育際・文化祭)の練習がガチすぎて疲れた」「○○と喧嘩した。明日は気まずいな」「花粉症で目が辛い」「おなか空いてるけど、食べたら寝そう」というコンディションが等身大の日常でしょう。

あくまで普段の勉強に過ぎませんから、たとえ誰にも認められず、誰に褒めてもらえずとも、普段の「やる気が出ない状態」を飼い慣らし、いかに地道に勉強に向かい合えるかが鍵なのです。中学生以上ともなれば、普段の勉強をご両親がそばで見守ってくれる状況もあまりないでしょう。

塾は「遊びたい、怠いけど勉強か…」と弱気になりやすい方のためにあります。
「刻苦勉励こそ我が青春!」と息巻いている方のためにもあります。

したがって「西荻塾」という環境の力とそのメリットを十分実感してもらえるように、一人では頑張れない生徒さんはもちろん、一人で頑張れる生徒さんについても自習日には強めにお誘いしています。

特にワイワイと盛り上がる空間ではありませんが、「同じ塾生同士で一緒に頑張っている」という静かな熱量が、今日のあなたの「やる気が出ない日」を「乗り越えた日」に変えてくれます。そんな小さいけれど確かな成功体験の積み重ねこそが、他でもない自分が自分を信頼することにつながるでしょう。

ゲームとか漫画とかYouTubeとかってやっぱり禁止するべきですか!?

家庭用ゲーム機「ファミリーコンピューター」は1983年に任天堂より発売されました。そして鳥山明氏の世界的大ヒット漫画「ドラゴンボール」は1984年に週刊少年ジャンプに連載が開始されました。また動画共有プラットホーム「YouTube」は2005年12月より正式サービスを開始し、そろそろ20年を迎えようとしています。

現在では数十億人が日常的に漫画やゲーム、動画共有サイトを楽しんでいるわけです。「漫画ばっかり読んでると頭が悪くなる」という一昔前の論調は、もはや教育議論の呼び水にさえならなくなったように思います。

結局のところ、ハードやコンテンツそのものに勉強を阻害する要因があるというより、適切なタイミングに適切な時間で楽しめているかということに問題は集約されるように思います。たとえその楽しみが漫画やゲームではなく、高度な幾何学や天文学であったとしても、明日に苦手な英単語テストを控えているのであれば、今日は英単語の勉強をしなければいけないのです。

「漫画→頭が悪くなる」、「ゲーム→くだらない」、「YouTube→時間の無駄」
この”→”には論理的飛躍があります。そして国語のテストでそんな答案を書いたら0点です。

もしあなたのご両親や学校の先生がこれらを「ダメだ!」と強く禁止するのであれば、反発心をいったん抑えてどうしてダメだと言われたのか、その背景を考えてみましょう。たとえ自分に反する意見であったとしても、深く柔軟に考察することが頭が良い人になるコツです。
客観的な分析の結果、何かしら「→」の飛躍を埋める根拠が見つかり「親が言う通り、今はスマホの電源切っておくか」という結論に至るかもしれません。

うちの学校の先生の授業はクセ強すぎ、これって良くないですよね?

「クセが強い」にも色々ありますが、たとえ受験やテストに全く関係がなくても、生徒の皆さんが授業を知的に楽しめているのであれば素敵な授業だと思います。むしろそれこそが本来学校の教師が生徒に教授すべき本質であり、一見自由に授業ができそうに見える塾の先生の方が「成績」や「合格」という強い縛りの中にいるとも言えます。

好奇心が強い生徒さんは、学校の授業も塾の授業もなんだかんだと楽しんでいるようです。月並みですが、それが一番お得な生き方だと思います。
我々は自分の基準が一番で、他者にはつい厳しい点をつけてしまいがちですが、「先生のクセの強さ」をあえて歓迎する度量もまた必要な気がします。

しかしそうは言ってもやはり「延々と雑談した後に『自分で教科書読めば分かるよね』で放置」とか「夏目漱石の人生を語り続けるだけで半年間が過ぎた」とかのよくある学校ネタを聞くと、苦笑いしたくなる時もあります。
せめて内職(授業中に自習をすること)を許してくれればいいのですが、「俺の話を聞け〜」とクレイジーケンバンドな先生もまだまだ熱いようです。

学校の授業は、学校と授業担当者の教育的意図や想いが実現されるように組み立てられているはずです。しかし悲しいかな、それが必ずしも今のあなたのニーズに合致しているとは限りません。

自分の進路選択や受験勉強に対する責任とその結果は、他の誰でもない生徒さん自身が引き受けるものです。たとえ学校の先生が不味い授業をし続けた結果、皆さんに知識の穴と演習不足が生じていたとしても、学校や先生を責めて授業のやり直しを迫ることはできません。卒業に必要単位を満たしていれば卒業です。

川上が考える人生で最も貴重なものは「時間」です。そしてあなたが中学生(高校生)でいられる時間は有限です。自分のかじ取りは自分でする(独学するという意味ではありません)覚悟と自立心を持ちましょう。
そうして自分のやるべきことに自覚と余裕ができることで、かえって粗ばかりだと思っていた授業にも面白さや意義を見出すことができるかもしれません。

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